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魚の骨
本展覧会において、僕が語れる事は少ないものだと思っている。
この展覧会は絵画を中心として制作している5名の作家で構成されている。
作家は各々スタジオや自宅で日々の暮らしの中、絵を書いている。
中には付き合いの長い作家もいるし、初対面だった作家もいるが、人間関係としての距離は決して近くはない。
普段どんな事を考えているか、深くは知らない。
特別な関係ではないからこそ、それぞれの作品を先入観なく解釈できてきた部分は大いにある。
理解について十分ではない事も否めないが、漠然とした好意と敬意を抱いている。
「理解」はひとつの現象というよりも、経験(記憶や学習)に関連している。
昨今作品について作家が多くを語る事は極めて必要なものだと考えている。
しかし、それを否定しないにしても、絵が壁に並べられ整然とした状況で鑑賞者が思うように思考を巡らせられたら、
多くの事を語らずしても十分な経験を以て作品を共有することができるかもしれない。
「飾る」「観る」という関係性の中で、作品の解釈に困惑して、
飲み込んだ魚の骨みたいに喉のどこかに違和感を感じてしまうような思いをしたとする。
しばらくその異物感を保ちながら考える。
鑑賞者と作品と作家とで三竦みの構図を取るだろう。
絵そのものがまるで考え事のように対立する。
・・・・・、考え事のような絵であればいいと思う。
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